自分語り120
各種オタク系イベントにおけるアンセム誕生の流れ

2008年8月30日

 ということでトカチゴールドへ行ってきました。

 わかむらPさんという方を初めて見たのですが、これは凄いですね。恐らく一本まるまるムービーファイル化した決め打ちなのでしょうが、色々なトラックにネタサンプリングを乗っけたりメガミックスにしたりして、最終的に一時間の映像付き演奏に仕上がっていました。一時間ですよ?これは凄い。アイドルマスターファンが殆どを占めるこのイベントでは映像の力が物凄く強いのですね。ここまでVJの有無で盛り上がりの差異が出るパーティというのはあまり経験がありませんので大変に新鮮でした。

 ところどころ私の知っている曲と周りの盛り上がりにギャップを感じたんですが――ギャップに感じたのは曲の良し悪しにではなく場の流れにです――、まず不思議に感じたことが元気ロケッツとかどう頭を捻ってもオタクネタでもアニメネタでも無いトラックで異様に場が盛り上がったりすることです。はて何故だろう?そしてPerfumeのトラックでも急に盛り上がります。やっぱり何故だろう?勿論Perfumeまで来るとオタクネタとの相性が物凄く良いのでわかるにはわかるのですが、Perfumeのみならず他のちょっぴりキャッチーなゲーム・アニメとの関連がない普通のポップスで急に場が盛り上がっていてとても不思議でした。

 何故だろう?と最初は思ったのですが、ここでわかむらPさんの映像作品に関して私の事前知識が無さが露呈して申し訳なく感じました。後ろのスクリーン――このイベントではDJと真反対の位置にあります――を見るとすぐにわかるようになっているんですね。これらのトラックはニコニコ動画にアイドルマスターのダンスや面白空耳(シャイニングスパイラルウンコって...)を使ったMAD PVが公開されている楽曲でした。それにしたってこのMADの出来は凄過ぎでしょう!こんなレベルのが延々と一時間スクリーンに映り続けていました。勿論わかむらPさんの出番でなくても参加しているVJはアイドルマスター関連の情報に非常に長けているVJなので、DJがそういうMAD化された経験のあるトラックをプレイすると30秒もしないうちにこのようなMAD PVがスクリーンに映し出されます。再生されると今まで全員DJの方を向いていたのが今度は全員スクリーンを方を向く訳です。そしてこれがまた凄まじい盛り上がりでした。

 オタク系イベントでよく見られる「アンセム※1」誕生の流れには、何々のアニメのオープニングになった曲であるとか、何々のゲームのBGMであるとか、そもそも有名なアニメのネタモノトラックであるとか、そういう流れがあります。それは凄く分かり易く、納得の行くものなのですが、「未来派とかTPTPとか大好きだから!」の一点張りで今回遊びに行かせてもらいましたアイドルマスター系という私にとって未知の世界では「アイドルマスターのMAD PVがニコニコニコ動画にアップロードされた楽曲」という流れで「アンセム」が誕生する土壌があるようです。

※1 アンセム (ANTHEM) : クラブイベントでしょっちゅうかかる定番盛り上がり曲、元の意味は「聖歌」。普通のクラブミュージック系パーティでは「DJがしょっちゅうプレイする楽曲」であることから共有意識が産まれることが普通ですが、オタク系パーティでは「**に収録されている楽曲」であることから共有意識が産まれるものがとても多いように見えます。

 面白い!この流れがあれば極端な話、アニメやゲームと全く関連の無いトラックをオタク系イベントのアンセムへと変貌せしめることが可能です。なるほどこれは考えたこともありませんでした。ニコニコ動画ファンがよく集うパーティによくある。「色々なMADのネタ元である楽曲」がアンセム化するのともまたちょっと違う気がします。ここでは特に面白おかしくMAD化する必要はないのですね。ただ純粋に好きなトラックにアイドルマスターの少女達のダンスが乗っかり、ただ純粋にPV化することによってこのシーンの中で認知度を高めていくわけです。アイドルマスターのような「バーチャルアイドル」の世界に最も近いものにご存知初音ミクがありますが、同様の事例で面白い現象を見ました。

 この楽曲は2007年インディーズシーンで爆発したDe De Mouseの代表曲Baby's Star Jamですが、2ちゃんねるのDe De Mouse関連のスレッドで「最近ニコ厨の遊び道具にされてて鬱陶しい」というような話が出ているのを聴いたことがあります――こちら伝聞ですみません――。遊び道具がどうであるとか鬱陶しい鬱陶しくないというのはまた別問題なので今は置いておきますが、はてそもそもデデマウスとニコニコ動画に一体どのような関連があるのだろう?と当然の疑問が湧いてきます。

 そこで見つかるのがこの動画です。初音ミクと初音ミク系ダンスソフト・ミクミクダンスを使ったMAD PVです。この再生数は現在7万回程ですが、7万回というとそれはもう凄い数字ですね。元の楽曲は私はDENPA!!!でも何度かプレイしたことがあるるんですが、案外盛り上がる訳です。DENPA!!!には毎回特定のBREAKCOREファンがいますのでそういう人達が盛り上がっているのかなとも最初は思ったのですが、よくよく見てみるとコスプレの女の子達も結構踊っている。まぁそんなもんなのかなぁとアバウトに思っていましたが、今回その謎が解明されました。

 アイドルマスター・ミクミクダンスという「踊る女の子達」のMAD PVが現れることによって「ポップス」であるとか「インディーズテクノ」であるとかの枠組みで語られていた音楽が「オタク系」の枠組みに組み込まれる訳ですね。そこで考えます、これって個人のアーティストが意図的に作りだすことは可能なのでしょうか。

 勿論最初はみんな「アイドルマスターが好き!」「初音ミクが好き!」というところから始まるのでしょうが、ブームが盛り上がってくるとこんな風に「楽曲を何かのダンスムービーで彩りたいから」という順番の人達が自然と出てきます。その時に何故アイドルマスター・初音ミクなのかということを考えてみます。共通することはヴァーチャルアイドルということですね。ではヴァーチャルアイドルは素人が作ることは可能なのでしょうか。まず「女の子」というのは前提条件として、当然ながら基本的に素人では女の子が踊っている動画素材を1から作ることが難しいのですね。極論するととにかく人型のものが何かしらビートに合わせて動いている必要がある。でも、それは一枚絵を複素数なんたらエフェクトでグニャグニャにしたサイケデリックな映像であるとか、作ろうと思えばなんとか作れないことはないぐらい割かし敷居の低い映像の類では表現が難しい。それで、やっぱり何かしらプロが用意したダンスの映像素材が欲しいということになってしまう。そこでやっぱりみんなアイドルマスター・初音ミクに行きつくのですね。

 初音ミクは初音ミクというバーチャル・ヴォーカリストが歌っているから、初音ミクというキャラがいるから、ということで自然に初音ミク系トラックでは初音ミクが動画を彩っていることが多くなったのですが、途中でミクミクダンスというフリーソフトが登場して、誰もがダンス映像を作れる格好の素材となったのだと思います。ですが当然歌の中身は初音ミクが歌っていないものでは不自然ですね。それに比べアイドルマスターでは初期のうちから「歌っている人は別の人でも良い」という感覚で色々な楽曲に彼女たちのダンスが素材として載るようになりました。女の子も初めから複数いますし、衣装も大変に豊富なのも理由の一つなのかもしれません。こんなレベルのものは素人では作れない。

 ではキャラクターが初音ミクではないミクミクダンスが出たらどうなのでしょう。すいません、ちょっと自分で言っていて意味が分かりませんね...初音ミクでなかったらミクミクダンスではありません。でも、最初は知名度の問題でなかなか苦労するかもしれませんが、「このキャラクターを使ったダンスムービーをあなたのオフィシャルムービーにしても構いません。」という約束が入っていたら、最終的にみんな飛びつくんじゃないでしょうか。ちょっと甘い考えですかね。ミクミクダンスのように踊りを指定出来るというものが敷居が高かったら――そういう意味ではミクミクダンスを作った人及び使っている人はとても凄いことをしているように見えます――4パターンぐらいの女の子がいろいろなダンスを踊っているムービーを背景無しの素材として販売する。これでどうでしょう。ダンスムービーのサンプリングCDですね。素材に飢えている人々は大喜びです。

 なんだか実写のダンスムービーなら既に素材DVDとか売っていそうな気がしてきました。でもまだ二次元では著作権フリーではないのではないかなと思いますがどうなんでしょう。ということでこれを見ていてかつアニメが書ける同人作家さん、オリジナルキャラのアニメダンス素材集なんて売ってみては如何でしょう。きっと私も買いますしみんな買うと思いますよ。

 でもそもそもこれ、「オタク系イベントのアンセム」を人工的かつお手軽に作りだすにはどうしたらいいかという流れで辿り着きましたが、初音ミクの時のようにブームになったらまた過度の競争にさらされて再び実力戦に戻ってしまう気がします。結局はそうなったら最後はいかに良い曲をつくるかというところに戻ってしまいますね。いやはや、楽をしようとするものではありませんね。ですが、ダンス素材の登場はそれはそれで心待ちにしております。いつか出ないかなぁ

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