自分語り133 - DENPA!!! 「超ライトオタク」 言説

2008年12月22日 | トラックバック(6)

 私のユリイカ誌面での発言「超ライトオタク」についての言説がはてなダイアリー界隈で2・3話題になっていることを今日知りました。

超ライトオタクの誕生 - 海ノ藻屑
超ライトオタクは誕生していない。ぬるオタが歴史から抹消されている - 増田
DENPAが従来のコスプレダンパ文化とどう違うのか誰か教えて欲しい - ARTIFACT
超ライトオタク - 休憩室@モーニング娘。学会 Ver.2.0
→●オタク音楽イベントがつくる、特殊なコミュニティ - たまごまごごはん


DENPA!!!第七夜 DJ TECHNORCH Time

 あぁなるほど、雑誌に載るということはこういうことなんですね。自分の載った雑誌が一般書店で平積みされている光景を初めてみた時の感動はゲームセンターで自分の楽曲が入ったマシンを見た時の感動に近いものがありましたが、はてなダイアリーを中心としてこういう動きが起きるのが非常に興味深く、そして嬉しいです。

 言及されている部分は濱野智史さんとの会話の部分で私が自身のレギュラーイベントDENPA!!!の客層を「超ライトオタク」と表現した部分のようです(濱野さんはQuick Japan誌面でDENPA!!!を紹介してくれたり非常にイベントに関して好意的です)。

 私はクラブイベントの踊りの観察で「自分語り95 ノリの大別」のような感じで、それぞれの客層によってこれ程までノリが違うんだよということを感じていました。そんな中でもDENPA!!!はこの大別の中では語れないまた別のモノだなと感じました。

 言及されている違和感の最も大きな原因は増田さんも仰っている通り「語られないことによる文化の断裂」だと思います。ARTIFACTさんの仰る「コスプレダンパとの違い」は私自身も非常に知りたい部分であり、また最近ではJ-POP専門イベントというものにも非常に興味があります。

 誌面では私は「(笑)」を交えながら語っていますが、DENPA!!!のお客さんは自身を「超ライトオタク層」と評されても不快感を感じない自意識を持っているのではないかと感じたので率直に「超ライトオタク層」と語らせてもらいました。ここで言う「自意識」は本田透さんが「なぜケータイ小説は売れるのか」で使った「自意識」と基本的には意味が同じなのですが、DENPA!!!と他の同人音楽系イベントではDJプレイに対するこの「自意識」の部分が全く違うのではないかと感じました。私自身それは自意識の段階の違いであって決して馬鹿にしているつもりはないのですが、はてなダイアリーの言及でもその部分は汲み取って頂けているようで嬉しい限りです。

 DENPA!!!はDENPA!!!としてはある意味でフロアの完成形に達している気もしますし、「超ライトオタク層」という分野におけるイベントとしてはまだ未完成なのかもしれないとも思います。しかし、少なくとも私達同人音楽出身には絶対に出来ない「アニメ×ファッション×ノイジーエレクトロ」を最初に成し遂げた「点と線」さん達オーガナイズクルーには私は敬意を表します。これは彼らでなければ絶対に出来ないことでした。

 DENPA!!!とコスプレダンパ系イベントの違いはなんでしょう。少なくともまず客層が違います。第三夜のDENPA!!!で「正直、組曲・ニコニコ動画しか曲がわからない。」と言っていた友人が第八夜では手作りの東方コスプレを着込みつつで「やらないか」を丸暗記して踊っているのです。そしてその感想は「楽しすぎる!もう普通のクラブイベントなんて行けない!」なんだこの現象は、私は回を増せば増すほどDENPA!!!という現象が面白くなってきました。

 ある意味ではDENPA!!!の経過は「振り付けもしらないアニソンも知らない」真っ白な状態のお客さんが「ファッションとしてのライトオタク」を身につけていく経過なのかもしれません。彼らはコスプレダンパの元からの客層と違い、コスプレダンパ用の振り付けを知りません。しかし彼らの「熱狂したい」という想いはちょっと半端ではなく、イベントとしての回を増せば増すほどコスプレイヤーは増え、ダンサーも増えていきます。

 普通のオタクがオーガナイズしたら、それこそただの「振り付けを知らない」だけのライトなコスプレダンパで終わり兼ねないところを彼らオーガナイズ陣とそして何よりもその客層は、ベクトルそのものを全く別の現象へと持って行きました。客層には服飾系専門学校出身の人とそして現役読者モデルが多く、信じられない程の美人・イケメンと信じられない程ハイレベルな手作りコスプレがフロアを埋め尽くします。ここでやたらと「美」に私が拘るのは別に美人・イケメンを賛美している訳ではありません。彼らのような客層がガチのアニソンで暴れ回るこの光景それ自体が凄まじいのです。その驚きは一般的な「オタク系イベント」に少しでも行ったことがある人なら確実に分かって頂けるはずです。これは異常なのです。

 そして彼らには何よりも「"オタク・おたく"としてのコンプレックス」がありません。コンプレックスがないオタクというモノがどれ程強烈な熱狂を産み出すのか、これは実際にDENPA!!!に出てみるまで想像も出来ないことでした。彼らは知らない曲と知らないキャラと知らないノリを次から次へと取り入れ、爆発的に肥大していきました。

 東浩紀さんはユリイカ紙面上で同人音楽全体を指して私に「それはつまり焼畑農業ではないのか?」と投げかけました。これには私の中でも同意出来る部分と同意出来ない部分がありますが、少なくともDENPA!!!のこの現象は東さんの言葉を借りれば「動物化」の典型的なフロア進化にあたると思います。そして宇野常寛さんの考える「あえて決断主義」として「超ライトオタク」というノリをDENPA!!!のお客さんが選択しているかというとそうではないでしょう。だからこそ「超ライトオタク」と評しました。そのような自意識の段階のイベントではありません。


DENPA!!! 第八夜 DJ TECHNORCH Time

 しかし「自意識の段階が低い」から「超ライト」であるから即ち「低レベル」だとは言えないのがこのイベントの面白いところです。正直私はこの未知のノリが私は興味深くてたまりません。ということで第八夜では「代替可能なDJ」という存在を実感したく、他の同人音楽イベントでのプレイと全く逆のパフォーマンスを取り、「満員のコスプレイヤーによるDJの目隠し」を行ってみました。フロアにいるコスプレ少女達にステージにあがって踊っていて欲しいとお願いしてみたのです。

 これは勿論初めての試みですが、上記動画の通り私は全くフロアから見えない状態になっています。これは「キャラクターとしてのDJ」を消費しているであろう他の同人音楽イベントでは絶対に出来ません。恐らくタブーといえるような行為です。そしてとにかくやってみました。結果大盛り上がりです。やはり「キャラクターとしてのDJ」ではないのです。これは「場としての選曲」です。つまりは「場」に対する消費というダンスフロアから、「キャラクター」としての消費の同人音楽ノリを経由して、またしてもここDENPA!!!では「場」としての消費に戻っています。

 しかし見ての通り一般的なクラブイベントのノリとは全く違い、「特定楽曲に対する反応」がほぼマックス、どこよりも極端な反応として現れます。「キャラクターとしてのDJ」への熱狂ではなく、「場」に対する熱狂とも言い難い、では「特定楽曲」に対する熱狂なのか、しかしこれもそうとも断じ辛い、彼らには対象である「特定楽曲」をどれ程強引に変化させてもついてこれるだろうという熱狂を感じます。ますますわからない、というかここまで客層がザックバランだとどれか一つとして断言するのが危険な気がします。ここにはクラブノリ・同人音楽ノリ・ダンパノリ・ギャルノリ・ヲタ芸ノリの全てが混じっています。しかし目に見える光景は正に「動物化」の典型といえるような光景です。興味深い、実に興味深いです。

 他のイベントではなかなか見られない「超ライトオタク」という客層について熱く語りましたが、濱野さんの紹介でも語られている通り、このイベントの客層は全体的にめちゃくちゃなのです。ガチからクラバー、しかもアキバ興味ないでしょあなた?って感じのムキムキ黒人、いろんな人が来ています。「超ライトオタク」はDENPA!!!の数ある現象のうちの一つに過ぎません。

 話をDENPA!!!からはてなダイアリーでの言及に戻します。私自身もユリイカ初音ミク総特集で、それぞれの個々の立場から見た初音ミクという現象がここまで違うものかと強烈に感じました。私のDENPA!!!に関する言説は著作内でも語っていますが「DJ TECHNORCHから定点観測」です。ですので外から見たDENPA!!!に関する、この「超ライト」から「ライト」そして「ガチ」更には「ヤンキー」までを繋げる色々な言説をもっともっと知りたい、読みたいなと思います。それを語れる立場の人は確実にいるはずです。必ずやどこかに、

 みんなわかっているはずなんです、語り足りない、語られ足りないのです。私はもっともっとこのジャンルに対する言説が読みたいです。「足りない」と知っている人はどうかバシバシ書いて、そして出来れば人の目が付くところに載せて下さい。少なくとも私は強烈に読みたいです。

 「自分語り120 各種オタク系イベントにおけるアンセム誕生の流れ」では、私が行った通称「ニコマス系」のイベントとかちゴールドでの衝撃を語りました。このイベントでは「キャラクターとしてのDJ」よりも「場」よりも「特定楽曲」よりも何よりも「アイドルマスターの映像」が中心と言えるイベントでした。これは本当に衝撃でした。イベントの中心がDJよりもVJにあるのです。しかし勿論楽曲の強固な支え無しでは決して成り立たないイベントです。

 面白い、とにかく面白い。ここ東京だけを見て回ってもきっともっともっと沢山の未知のイベントがあることでしょう。私達は音楽に対してどれ程多様に接して行くことが可能なのでしょうか。決してみることの叶わない限界を私はもっと知りたいのです。

 DENPA!!!にて、とある初音ミク少女と友人が話をしていて、面白い会話を聞きました。

「凄いカワイイねそのコスプレ、自分で作ったの?」
「そうです自作です。」
「普段アニメとか見てるの?やっぱりこういう時だけスイッチが切り替わるの?」
「普段は同人誌とか書いてます。」
「えぇ!?全然見えない、あなたみたいなのがコミケ会場にいたらモテモテじゃない?w」
「や、当日は徹夜明けなんで化粧なんてしてる暇は...w完全に溶け込んでますよ。」

 私達は知らないことが多すぎる...







●この記事に対する応答記事 『自分語り134 - 「超ライトオタク」 で何が悪い』

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