
溝口敦 / パチンコ「30兆円の闇」
★★★★☆
パチンコの世界がどのようなお金の仕組みで廻っているかという裏事情のお話。本として出版されている時点で既に裏ではないし、元版出版が5年前で、取材当時に至っては5〜10年前の情報であったり、しかも裏稼業の人々がそれぞれの利益の元に「話ても良い」と判断した情報です。面白いのは本書の読後感が「これで俺も裏稼業に精通しちゃう」というヤマしさでも悦びでもなく、なんかもうとにかく「宇宙って、綺麗だよね...( ゚Д゚)」とかそんな感じであること。
徹底的に搾取されるパチンコ・パチスロファン、それをまず吸い上げるのは祭りを生み出し死なない程度に搾り取るパチンコホールだ。そもそも賭博が違法のこの国で銀玉→景品→現金に変換が出来る三店方式がおかしい。法律には等価交換が原則づけられているけれども、そもそもこの時点で多少ピンハネされているし、客も店もピンハネされていることが原則で回る。パチンコファンにとってパチンコホールは無敵だ。
そんな無敵なパチンコホールが恐れる中国人ゴト師が現れる。彼らは経済犯でも死刑にされる中華人民共和国13億人から選り抜きされた犯罪集団だ。彼らが一人でもホール内で本気で暴れれば、それを抑えるためにパチンコ店員が三人要る、しかし彼らは三人で行く、だから九人必要になる、当然足りない、だから彼らは店員を恐れない。そもそも彼らは日本人ヤクザすらも恐れない、喧嘩を売られれば50人を集め、太ももをナイフで刺し平然と追い返す。文字通り「死を恐れない」彼らを日本人ヤクザは恐れる。中国人ゴト師は無敵だ。
そんな無敵な中国人ゴト師が恐れる中国人マフィアが現れる。なんだか順番が良く分からない。中国人ゴト師が本国のお父さんお母さんのために送金する金額が度を過ぎているため、両親は彼らが犯罪に手を染めていることを確信し彼らに電話をよこす。本国のお母さんに日本国の「パチンコゴト」という仕組みを説明出来ない中国人ゴト師はせめてもの慰めとしてこうなだめる。「大丈夫だよ、麻薬には手を出してないよ。」無敵の彼らの上位に位置するのが薬を扱う中国人マフィアだ。中国人マフィアは無敵なのだ。
そんな無敵な中国人マフィアが恐れる街のお巡りさんが現れる。言う事を聞かない素人をぶん殴る日本人ヤクザをぶん殴る中国人マフィアをお巡りさんがぶん殴る。中国人マフィアは金になることを24時間考え続ける、昼夜を問わず働き続ける彼らの唯一の癒しが「本当に信頼出来る親友達との食事会」だ。言う事を聞かない奴を力づくで言う事が聞かせられる彼らは、だからこそ平穏な食事を取ることすらままならない。そんな彼らが日頃もっとも恐れるのはお巡りさんの職質だ。法を犯す彼らは警察にだけは捕まるわけにいかない。捕まったからには脱出するまでには袖の下が必要になり、ここに来て簡単に我々一般市民の価値観に戻る逆転する。お巡りさんは無敵なのだ。
そんな無敵のお巡りさんが恐れるのはパチンコ業界の滅亡だ。グレーゾーンというお目こぼしから発生する天下りなどの業界癒着、現場単位での癒着、地域住民からパチンコ屋が立ち退きを訴えられれば、全力で協力し存続にかける、「風営法」という範囲を完全に逸脱したパチンコを支え支えられるのが警察組織だ。色んな上下の入れ替えが本書では行われる、ここまでが本書。
こんな告発を行った著者は日本人ヤクザに酷い目にあっている。中国人ゴト師偏を読んでいると中国人犯罪組織が無敵に見えてくるけれど、その中国人犯罪組織が日本人ヤクザをものともしない、その上位に組織する中国人マフィア、驚くのは彼らのシノギが薬だったり、日本人チンピラを強盗したりすることだ。オレオレ詐欺である日成金となった彼らは金を使うところがないので、夜の街で豪遊してしまい、目立ち、目立っただけで即座にナンバープレートを撮影され、それだけで何故か中国人マフィアが自宅に強盗に押しかける。夜の豪遊から強盗までの顛末が短すぎてあっけにとられる。そして彼らを摘発する警察、その警察が恐れる沢山のものこと。
本書にはパチスロ攻略情報でパチスロファンから搾取する攻略情報誌も登場するが、彼らが偽の情報を配る時にパチスロファンを黙らせる最終的な方法が「バックにヤクザをチラつかせる」ことで、実はそのヤクザが本当に登場してしまってはギリギリ真っ当な会社としてやっている情報誌は手も足も出ない。
そんな彼が一番恐れるのが、ヤクザなハッタリが効かず、本当に訴え出てくる人だ。裁判になると判例になってしまうので攻略誌は即効で示談に持っていく。2ちゃんねるまとめサイトやはてな匿名ダイアリーでの、ブラック企業や詐欺会社への電凸記事を思い出す。攻略誌が恐れるのは地位も名誉も守るものが何もない人達だ。そんな無敵のニートは一歩外に出れば家族が怖い同級生が怖い世間が怖い。この本が書かれた時点でこの情報は5年からそれ以上前のお話です。
ヤクザ・中国人マフィア・警察が揃って投資する先として度々「酒と女」が登場する。無敵の彼らは「恋愛の世界」で遥か先をゆく夜の女性達に手玉に取られる。巷に溢れる「夜の女性達が弱者として搾取される物語」を思い出す。無敵の無敵の無敵の無敵がいて、上位の上位の上位の上位の、あれ、上下が入れ替わってる、あ、また入れ替わった。本の内容も随分誇張して書いてしまい、上の文章だと色々矛盾がありますが、本書には読んでいて上下の価値観が何度も回転するもっと恐ろしい顛末が詰まっています。その顛末が綺麗すぎて、何もかもが絡みあいすぎていて、なんか、もう、宇宙って、綺麗だよね...( ゚Д゚)











