インタビューの依頼が来た。loudか?ele-kingか?はたまたアニソンマガジンか?いやいやそんなことはない。以前もご報告したとおり、学生からインタビューの依頼が来た。しかも
中学三年生・実名・対面のインタビューだ。
同人音楽を追ったドキュメンタリー(東京芸大)には以前撮影協力させて頂きましたが、まさか中学三年生から対面のインタビューが来ようとは、実に興味深い。
どうやら「音楽業」に関するものに対してのインタビューのようなので、
1.私は同人音楽というフィールドで活動しているため君が考える音楽業とは相当かけ離れた行動を取っているかもしれないということ。
2.私には守秘義務がありしかも君が未成年であるため私が全責任をもって行動する必要があるため、参加した作品の一部について殆ど君に話さない可能性があるということ。
3.私は中学三年生にして対面インタビューを申し出る君に非常に興味があるので是非とも相互インタビューの形にしたいということ、然るに録音をお願いしたいということ。
を申し出て実現となりました。
麻布中学とは凄い学園である。在学経験のある知人曰く、校則に「下駄を履くべからず」「学内で出前を取るべからず」があり、とにかく破天荒であるという。実際私のところに大学2年生でも高校2年生でもなく、中学三年生がやってくるのだから既に破天荒だ。私達は勿論互いに面識がない。
普通の子がやってきた。十幾つ下の普通の学生だ。しかし喋り方がとにかく大人で驚いた。
私はよく「ファンが怖い」と漏らすが、今回はインタビュー申し出の時点で何かの直感があり、「この子は怖くない(14の子に言うセリフではない)」という確信があった。ファンが怖いというのはどういうことか、子細を書くつもりはないけれど想像を膨らませたければ
雨宮処凛のバンギャル ア ゴーゴー
なんて読むのもいいかもしれない。私は一々ソレにキョドるので再三妻に窘められている、なんとかならないものだろうか。
話を戻して彼は実に大人だった。特に私はこのインタビューに当たって守秘義務について徹底しなければいけない(なんといっても相手は14才だ)と思っていたのだけれど、大人のファンでもバリバリ突っ込んでくるところを彼は着実に先回りし、あ、これは聞き出させなさそうだと思えばさっと剣先を引っ込めてしまう、実にやり易いインタビュー、いえ対談でした。
これは大人の仕事を調べる「
宿題」らしく、普通の子はお父さんの仕事を調べてくるのだけれど、彼は一直線に私のところにむかってきたようだ。
「大人の仕事」という時点で私がやっている「同人音楽」は失格なので、後半そこらへんについてみっちり説明したところ、さすがに彼は驚いていました。力不足で申し訳ない、でも最近NHKラジオセンターのディレクターに招待されて(私はラジオ出演させてもらえるのかと過剰に期待していた!)同人音楽のプレゼンテーションをしたことがあるぐらいであるので、そのぐらい知らない人は知らないし、大人だって知りたい情報なのだということがわかって欲しかった。そしてそれは十分に伝わったと思う。
果たして彼は「宿題」を提出した。ここからは私の番だ。さぁ、君のことを教えてくれ。
彼は当然音ゲーからハードコアテクノに入門している。当たり前だ。私は驚かない。どこをどうすればクラブに入れない中学三年生が、電気グルーヴのラジオも、クイックジャパンも抜きに直接ガバァにエントリー出来るものだろうか。
ここ十年、「最も高速である(ボス曲)」という理由からハードコアテクノは音ゲーと直結している。
驚くべくは彼は彼のクラス彼の周りに五人ものハードコアテクノファンがいるということ、この数は学生時代からのテクノ好きなら分かる思うけれど驚異的だ。テクノ好きなんて1クラスに自分ともう一人ぐらいいればいいほうなのだ。
好きなアーティストはArt of Fighters, Neophyte、あと最近はYOJIのTECH DANCEにも興味があるらしい。YOJI?どういう直角経路を経由してきているのかを聞いてみた。他分に想像も入っているので悪しからず。
まず、私「DJ TECHNORCH / 888」DDRに入っているボス曲でBPMが888BPMあるBREAKCOREトラックだ。ここからまずBREAKCOREにハマったらしい。次にうちのサイトにあった2006年の記事
ブレイクコア入門、ここから一気にBREAKCORE全体にと突き抜けたかったけれど入手の困難さに阻まれる。そこでGUHROOVY店頭にあるMURDER CHANNEL系に行き当たる。GUHROOVY店頭で当然GABBAに出会う、Art of FightersやNeophyteは入荷すればGUHROOVYでもランキング常連だ。今はBREAKCOREはMURDER CHANNEL系、GABBAはオランダ系、J-COREはHARDCORE TANO*C系から順に追っていると見える。
ここでGABBA系とJ-CORE系を彼がはっきりと別物として認識しているのがとても面白い。本物とか偽物とかそういう上位下位ではなく
並列に並べて認識していた。で、最後になんでYOJIが出てくるのかというと私のSTRAIGHTがTECH DANCEだったからだという。面白い、彼はDJ TECHNORCHとYOJIを
「J」で繋げている。一旦、奥までルーツを探って、ちょっとしたらJに戻ってまた別ジャンルに羽を広げる。どんどん広げる。
彼の感度の良さ(曲を投げ込まれれば全部真剣に聴く、流し聴かない、同ジャンルかルーツを必ず追う)を見ていると自分がはじめてHELL SCAPERにぶち当たったときを思い出す。とにかくひたすら無我夢中だった。私はHELL SCAPERでGABBAH (GABBA)を認識して、ひたすらハードコアを集め、R5等でなんとなくRAVEというものを認識しながらT99で爆発していた。
音ゲーはジャンルのカタログだ。レコード屋では絶対にしない、「超」細分化した百科事典のようなカタログがあり、それが定期的にリリースされ、ある程度の範囲旧曲が削除され決して頭で認識出来る曲数を越えない。「30秒でわかるクラシック全集」の如く、全ての曲が90秒から120秒程度で抑えられているのも絶妙だ。ここらへんはニコニコ動画にも繋がるものがある(PVを作るには労力を押さえるために短くならなければならない)。カタログを広げる、キターと思ったものを指で抑え、ネットで検索する、すぐにHARDCORE TECHNORCHにぶち当たる。同ジャンル・ルーツを追う(これは結構難しい、私は非常に下手で持ち物が全部なくなるぐらい全部をレコードに投資する結果に終わった。けれど彼は私より賢いのでルーツの追い方と大物アーティストの選択が早い)、ちょっと追ったらすぐカタログに戻る、また同じことを繰り返す、気がつくと新作がリリースされている、またカタログをひっくり返す。
ガバァの世界は大きいのかちっちゃいのかわからない。大物アーティストなんてほんの一部だけれど、とにかくリリース量は馬鹿みたいに多い。デジタルリリースを一作一作追っていくのは大変な手間だ。そこをGUHROOVYでフィルタリングして上位を一気にかっさらう、こうしていくと自然にHARDCORE TANO*C及びJ-COREがひっかかる。今度はJ-「CORE」とNERD「CORE」と書いてあるのに実はHARDCOREではないものも含め、最後には「同人音楽」という大量のリリースを再び見ることになる(ガバのフラクタル)。それをHARDCORE TANO*CでHARDCORE TECHNORCHでフィルタリングして欲しいリリースを一気に掻っ攫う。
オランダデジタルショップからGUHROOVYへ到るまでのフィルタリングは相当的確な絞り込みがされているのでカタログというよりフィルタリングという言葉が適当だが、J-CORE/NERDCOREの世界はまだまだ「日本人」しかいないため相当に人数が少ない、これはほぼカタログ状態だ。あとはカタログが出す新作をどんどんおっていけばいい。
J-COREは音ゲーとフラクタルだ。
彼はレコードのA面B面がどちらか、外側と内側がどちらが一曲目かわからなかった。昔CISCOがWAVEがやってくれたフィルタリングは、電気グルーヴANNのカタログは彼にはレコードである必要がないのだ。
彼は私の曲を聴いてからまだ一年も経っていないだろう。私は今月末に
新しいシングルを出して、彼にまた一つの「OLDSKOOL HARDCORE RAVE」というカタログの一ページを与える。やり甲斐があるなぁ。ありがとう、楽しい対談でした。