自分語りの最近のブログ記事

自分語り135 - 「超ライトオタク」 ゆっくりした結果

※増田とは:はてな匿名ダイアリー(AnonymousDiary)を指します

自分語り134 - 「超ライトオタク」 で何が悪い

前日の記事 『自分語り133 - DENPA!!! 「超ライトオタク」 言説

 昨夜は初めてはてなダイアリーの記事に対する複数応答+呼応記事というものを経験し、なるほどこれは面白いなと思いました。しかしこれプロの評論家が一つ一つ対応していったらとてもではないけれど間に合わないだろうなとも実感として感じます。

 とはいえ私はどう考えてもその次元とは程遠いので安心ですが、もしそうなった場合はそれぞれそこでどうしても選択的な回答になってしまうのでしょう。それはそれでまた新たな決断に迫られる訳ですね。

 しかし何にせよ経験です、私にはまだありとあらゆる経験が足りないと思いますのでとりあえず初めはやれるだけやってみようと思います。「超ライトオタク」言説に関してはいくつものエントリーが見つかりましたが直球で投げかけてくれているものがありましたので再度応答指せて頂きます。

自分語り - はてな匿名ダイアリー

簡単に言ってしまえば、DENPA!!!を面白いと感じるのは「若さ」という「不可避の理由」によりバカだから、しょうもないものをありがたがっているだけだと思う。(「若さ」ってのは、「歴史」を「知れない」からこそ発生する性質。つまりバカであることを避けられない)(「若さ」は、「生まれてからの日数が少ない」という意味ではない。「青い」と呼んでいた時代もあった)

 私達は、少なくとも私はその青さと若さを踏まえた上で、その青い人々と既に青くない人々が共に歩んで別の何かを産み出すことを期待しています。ジャンル議論に関しても例えばテクノであればテクノを知ったばかりの人を「バカ」であり「教えて君」であるとそこで断じて止まるのではなく、そこで上から下へと知識を共有しあってこそ別の何かが産まれるのではないかと思っています。

 私達は必ず青さから始まります。そしてその青さは必ずや誰もが経験していることだと思うので、その青さを「バカ」の一言で片付けずにどうか次の一歩へとご助力願えばと切に感じます。私がここでいう「次」とか「別」というものは特に「新しい何か」であることを必要としているわけではありません。何かが産まれ発展すれば必ず停滞し、必ず次か別が必要になります。それこそ私達は停滞した段階で「これは一つの文化であり、伝統芸能である。」というところまでの安定を得られれば「焼畑農業」に陥らずに済むのかもしれませんし、それこそ実は仮に安定を得られたとしても私達は「次」を追い求める傲慢な人間かもしれません。

 ですがこの記事を書いた方が私達よりも「先」を知っているのであれば「バカ」と済ませずに「次」に対してどうかお力添えをお願い致します。「先」に進んだ人達が新しく産まれた(それは表面的な差異はあっても「先」に進んでいる人々にとってはやり尽くされたことかも知れない)ムーブメントを「あぁ、またこんなことが起きてるんだ、"バカ"らしいな。」で終わらせず力を貸して下さい。

 「排除の団結」ではなくどうか「一致の団結」を実現させて下さい。それにはあなたの力が必要なんです。

TECHNORCHさんの大好きな「DENPA!!!というクラブイベント」は、<青年>が<鬼ごっこ>して「たのしー!!!超気持ちいい??!!」とか言ってるだけなんだよね。

そりゃ体動かすと楽しいし気持ちいいし、みんないると寂しくないよ。でも、それをありがたがったり、高尚なものだと勘違いするのは止めといた方がいいよ。DENPA!!!なんてクラブで踊ってわーわーきゃーきゃー言ってるだけのイベントなんだよ。コスプレだとかオシャレとかガチとかぬるとかどうでも良くて、昔からあるただの"event"なんよ。そう思っていたほうが、人生に失敗しないと思う。これは自分の体験から言えることなんだけど(タメイキ

 「鬼ごっこでたのしー!」ことが人生の失敗に繋がるというのがどうしても私は納得がいきません。私はDENPA!!!が崇高であるとか高尚であるとかは思いません。これまで何度も繰り返されてきたサブカル・オタクの兼ね合わせ、そしてオタク・新人類のお話の一つに過ぎないのかもしれません。但し私はその取るに足らない表面的な差異に感動する程の違いを感じたのでしつこく言及してはいます。その部分を過剰に受け止めさせてしまったのだとしたら申し訳ないです。

 しかし仮にその表面的差異全てを「バカ」の一言で断じる事が出来たとして、その鬼ごっこの楽しさという青さはそこまで否定されることなのでしょうか。私はそこがどうしても納得がいきません。

んで、↓これ。

>> DENPA!!!のこの現象は東さんの言葉を借りれば「動物化」の典型的なフロア進化

「はてな」周辺でよくある『動物化するポストモダン』の誤読なんだけど、あの本って単に「ジャンクな物でも『おいしい』と感じる人が大半になったよ』って書いてあるだけだよ?例えていうと、「王将は関西人のソウルフード」とか「二郎はもはや二郎という食べ物」とか「マックまじでうまい」とか真顔で言っちゃう人が増えたねぇ、って書いてあるだけ。いっけんかっこよく聞こえるし、「データベース」とか確かに新しい概念もあるから良書なんだけど、「消費する側」が自己肯定に使っちゃうとアウアウだよ。まぁ、言論な人に触ってもらえて嬉しい気持ちはわかるけど、ほどほどにねって。

 そして何よりもこの部分が最も納得がいきませんでした。動物化した先が口の悪い言い方をすれば「うすっぺらく」「お約束の重ね合わせ」で表現出来るものであることは重々承知しています。だからこそ私はその代替可能性がどこまでの範囲に及んでいるかを実際に確認したくて「コスプレイヤーによるDJの目隠し」等の実験を行った訳です。私はこの極端に動物化したイベントでお客さんが求めるその次がとても知りたいのです。

 しかし言いたいことはそこではありません。どうか人の愛する音楽を「ジャンクフード」呼ばわりはしないでください。ここまでのお話は納得がいく・いかないのお話でしたが、私はここに関してだけは直球で不快感を感じます。彼ら私達が楽しんでいる音楽は確かにあなたにとってはジャンクフードのようなものかもしれません。しかし人が好きで楽しんでいる音楽をどうして「ジャンクフード」とまで言えるのでしょうか。あなたにとっては動物化の極限を経た上でのDENPA!!!プレイは確かに低レベルで下らないものかもしれません。しかし彼らの感動は本物です。

 私はゲーム音楽からダンスミュージックを知り、今はクラブミュージックのDJをしています。例えばクラブミュージックの影響を受けて産まれたゲーム音楽・同人音楽がメインストリームにいる人々にとっては「ありきたり」で「お約束」で「低レベル」に感じることがあるかもしれません。私は音楽ヒエラルキー的な考え方にはどうも馴染めませんが数多くの人がある種の音楽を「高・低」で考えているのは紛れもない事実でしょう。しかし私はゲーム音楽で熱狂し、それこそ人生が変わるほど、人生が救われる程感動しました。これらの熱狂は確かに

「オタクっぽい」とすでに了解された格好で、「ビート」に乗せて乱痴気騒ぎしてるだけ

に見えるかも知れません。しかし私そして彼らの感動は本物です。この感動をどうか「ジャンクフード」とは言わないで下さい。そしてあなたが既に「ファーストフード」ではない「三つ星レストラン」の段階まで進んでいるのであれば(例えそれが舞台の上から手を差し伸べるような高飛車な態度であっても構いません)、この「青い」「乱痴気騒ぎ」を「バカ」であると見下さず、どうか私達に力を貸して下さい。私は一部の天才を除いて殆ど全ての次がこの「青さ」と「若さ」の積み重ねて産まれると考えています。同時に、若さを延々と繰り返しているだけでは次には進まないのです。だからこそ、あなたの私はあなたの力が借りたい。

 そして改めて言います。どうか彼ら私達の感動を「ジャンクフード」なんて言わないで下さい。

自分語り133 - DENPA!!! 「超ライトオタク」 言説

 私のユリイカ誌面での発言「超ライトオタク」についての言説がはてなダイアリー界隈で2・3話題になっていることを今日知りました。

超ライトオタクの誕生 - 海ノ藻屑
超ライトオタクは誕生していない。ぬるオタが歴史から抹消されている - 増田
DENPAが従来のコスプレダンパ文化とどう違うのか誰か教えて欲しい - ARTIFACT
超ライトオタク - 休憩室@モーニング娘。学会 Ver.2.0
→●オタク音楽イベントがつくる、特殊なコミュニティ - たまごまごごはん


DENPA!!!第七夜 DJ TECHNORCH Time

 あぁなるほど、雑誌に載るということはこういうことなんですね。自分の載った雑誌が一般書店で平積みされている光景を初めてみた時の感動はゲームセンターで自分の楽曲が入ったマシンを見た時の感動に近いものがありましたが、はてなダイアリーを中心としてこういう動きが起きるのが非常に興味深く、そして嬉しいです。

 言及されている部分は濱野智史さんとの会話の部分で私が自身のレギュラーイベントDENPA!!!の客層を「超ライトオタク」と表現した部分のようです(濱野さんはQuick Japan誌面でDENPA!!!を紹介してくれたり非常にイベントに関して好意的です)。

 私はクラブイベントの踊りの観察で「自分語り95 ノリの大別」のような感じで、それぞれの客層によってこれ程までノリが違うんだよということを感じていました。そんな中でもDENPA!!!はこの大別の中では語れないまた別のモノだなと感じました。

 言及されている違和感の最も大きな原因は増田さんも仰っている通り「語られないことによる文化の断裂」だと思います。ARTIFACTさんの仰る「コスプレダンパとの違い」は私自身も非常に知りたい部分であり、また最近ではJ-POP専門イベントというものにも非常に興味があります。

 誌面では私は「(笑)」を交えながら語っていますが、DENPA!!!のお客さんは自身を「超ライトオタク層」と評されても不快感を感じない自意識を持っているのではないかと感じたので率直に「超ライトオタク層」と語らせてもらいました。ここで言う「自意識」は本田透さんが「なぜケータイ小説は売れるのか」で使った「自意識」と基本的には意味が同じなのですが、DENPA!!!と他の同人音楽系イベントではDJプレイに対するこの「自意識」の部分が全く違うのではないかと感じました。私自身それは自意識の段階の違いであって決して馬鹿にしているつもりはないのですが、はてなダイアリーの言及でもその部分は汲み取って頂けているようで嬉しい限りです。

 DENPA!!!はDENPA!!!としてはある意味でフロアの完成形に達している気もしますし、「超ライトオタク層」という分野におけるイベントとしてはまだ未完成なのかもしれないとも思います。しかし、少なくとも私達同人音楽出身には絶対に出来ない「アニメ×ファッション×ノイジーエレクトロ」を最初に成し遂げた「点と線」さん達オーガナイズクルーには私は敬意を表します。これは彼らでなければ絶対に出来ないことでした。

 DENPA!!!とコスプレダンパ系イベントの違いはなんでしょう。少なくともまず客層が違います。第三夜のDENPA!!!で「正直、組曲・ニコニコ動画しか曲がわからない。」と言っていた友人が第八夜では手作りの東方コスプレを着込みつつで「やらないか」を丸暗記して踊っているのです。そしてその感想は「楽しすぎる!もう普通のクラブイベントなんて行けない!」なんだこの現象は、私は回を増せば増すほどDENPA!!!という現象が面白くなってきました。

 ある意味ではDENPA!!!の経過は「振り付けもしらないアニソンも知らない」真っ白な状態のお客さんが「ファッションとしてのライトオタク」を身につけていく経過なのかもしれません。彼らはコスプレダンパの元からの客層と違い、コスプレダンパ用の振り付けを知りません。しかし彼らの「熱狂したい」という想いはちょっと半端ではなく、イベントとしての回を増せば増すほどコスプレイヤーは増え、ダンサーも増えていきます。

 普通のオタクがオーガナイズしたら、それこそただの「振り付けを知らない」だけのライトなコスプレダンパで終わり兼ねないところを彼らオーガナイズ陣とそして何よりもその客層は、ベクトルそのものを全く別の現象へと持って行きました。客層には服飾系専門学校出身の人とそして現役読者モデルが多く、信じられない程の美人・イケメンと信じられない程ハイレベルな手作りコスプレがフロアを埋め尽くします。ここでやたらと「美」に私が拘るのは別に美人・イケメンを賛美している訳ではありません。彼らのような客層がガチのアニソンで暴れ回るこの光景それ自体が凄まじいのです。その驚きは一般的な「オタク系イベント」に少しでも行ったことがある人なら確実に分かって頂けるはずです。これは異常なのです。

 そして彼らには何よりも「"オタク・おたく"としてのコンプレックス」がありません。コンプレックスがないオタクというモノがどれ程強烈な熱狂を産み出すのか、これは実際にDENPA!!!に出てみるまで想像も出来ないことでした。彼らは知らない曲と知らないキャラと知らないノリを次から次へと取り入れ、爆発的に肥大していきました。

 東浩紀さんはユリイカ紙面上で同人音楽全体を指して私に「それはつまり焼畑農業ではないのか?」と投げかけました。これには私の中でも同意出来る部分と同意出来ない部分がありますが、少なくともDENPA!!!のこの現象は東さんの言葉を借りれば「動物化」の典型的なフロア進化にあたると思います。そして宇野常寛さんの考える「あえて決断主義」として「超ライトオタク」というノリをDENPA!!!のお客さんが選択しているかというとそうではないでしょう。だからこそ「超ライトオタク」と評しました。そのような自意識の段階のイベントではありません。


DENPA!!! 第八夜 DJ TECHNORCH Time

 しかし「自意識の段階が低い」から「超ライト」であるから即ち「低レベル」だとは言えないのがこのイベントの面白いところです。正直私はこの未知のノリが私は興味深くてたまりません。ということで第八夜では「代替可能なDJ」という存在を実感したく、他の同人音楽イベントでのプレイと全く逆のパフォーマンスを取り、「満員のコスプレイヤーによるDJの目隠し」を行ってみました。フロアにいるコスプレ少女達にステージにあがって踊っていて欲しいとお願いしてみたのです。

 これは勿論初めての試みですが、上記動画の通り私は全くフロアから見えない状態になっています。これは「キャラクターとしてのDJ」を消費しているであろう他の同人音楽イベントでは絶対に出来ません。恐らくタブーといえるような行為です。そしてとにかくやってみました。結果大盛り上がりです。やはり「キャラクターとしてのDJ」ではないのです。これは「場としての選曲」です。つまりは「場」に対する消費というダンスフロアから、「キャラクター」としての消費の同人音楽ノリを経由して、またしてもここDENPA!!!では「場」としての消費に戻っています。

 しかし見ての通り一般的なクラブイベントのノリとは全く違い、「特定楽曲に対する反応」がほぼマックス、どこよりも極端な反応として現れます。「キャラクターとしてのDJ」への熱狂ではなく、「場」に対する熱狂とも言い難い、では「特定楽曲」に対する熱狂なのか、しかしこれもそうとも断じ辛い、彼らには対象である「特定楽曲」をどれ程強引に変化させてもついてこれるだろうという熱狂を感じます。ますますわからない、というかここまで客層がザックバランだとどれか一つとして断言するのが危険な気がします。ここにはクラブノリ・同人音楽ノリ・ダンパノリ・ギャルノリ・ヲタ芸ノリの全てが混じっています。しかし目に見える光景は正に「動物化」の典型といえるような光景です。興味深い、実に興味深いです。

 他のイベントではなかなか見られない「超ライトオタク」という客層について熱く語りましたが、濱野さんの紹介でも語られている通り、このイベントの客層は全体的にめちゃくちゃなのです。ガチからクラバー、しかもアキバ興味ないでしょあなた?って感じのムキムキ黒人、いろんな人が来ています。「超ライトオタク」はDENPA!!!の数ある現象のうちの一つに過ぎません。

 話をDENPA!!!からはてなダイアリーでの言及に戻します。私自身もユリイカ初音ミク総特集で、それぞれの個々の立場から見た初音ミクという現象がここまで違うものかと強烈に感じました。私のDENPA!!!に関する言説は著作内でも語っていますが「DJ TECHNORCHから定点観測」です。ですので外から見たDENPA!!!に関する、この「超ライト」から「ライト」そして「ガチ」更には「ヤンキー」までを繋げる色々な言説をもっともっと知りたい、読みたいなと思います。それを語れる立場の人は確実にいるはずです。必ずやどこかに、

 みんなわかっているはずなんです、語り足りない、語られ足りないのです。私はもっともっとこのジャンルに対する言説が読みたいです。「足りない」と知っている人はどうかバシバシ書いて、そして出来れば人の目が付くところに載せて下さい。少なくとも私は強烈に読みたいです。

 「自分語り120 各種オタク系イベントにおけるアンセム誕生の流れ」では、私が行った通称「ニコマス系」のイベントとかちゴールドでの衝撃を語りました。このイベントでは「キャラクターとしてのDJ」よりも「場」よりも「特定楽曲」よりも何よりも「アイドルマスターの映像」が中心と言えるイベントでした。これは本当に衝撃でした。イベントの中心がDJよりもVJにあるのです。しかし勿論楽曲の強固な支え無しでは決して成り立たないイベントです。

 面白い、とにかく面白い。ここ東京だけを見て回ってもきっともっともっと沢山の未知のイベントがあることでしょう。私達は音楽に対してどれ程多様に接して行くことが可能なのでしょうか。決してみることの叶わない限界を私はもっと知りたいのです。

 DENPA!!!にて、とある初音ミク少女と友人が話をしていて、面白い会話を聞きました。

「凄いカワイイねそのコスプレ、自分で作ったの?」
「そうです自作です。」
「普段アニメとか見てるの?やっぱりこういう時だけスイッチが切り替わるの?」
「普段は同人誌とか書いてます。」
「えぇ!?全然見えない、あなたみたいなのがコミケ会場にいたらモテモテじゃない?w」
「や、当日は徹夜明けなんで化粧なんてしてる暇は...w完全に溶け込んでますよ。」

 私達は知らないことが多すぎる...







●この記事に対する応答記事 『自分語り134 - 「超ライトオタク」 で何が悪い』

自分語り132-初心者のためのDJ機材 入門講座(後編)

昨日の入門記事の後編です

5.DJ機材新要素 デジタルDJ (Digital DJ, File DJ)

5.1. デジタルDJ (ソフトウェアのみ)

(※以下、Native Instruments社を全て略称NIで統一します。)

 当ブログの読者であれば最低名前だけは聞いたことがあると思います。21世紀に入り驚異的に普及してきたDJ形式、デジタルDJの登場です。デジタルDJとはノートPC(勿論Traktor DJインストール済)とオーディオインターフェイス(Audio Kontrol 1等)を持ち込めば、マウスクリックとキーボード操作だけでオートメーションでDJが出来るという新しいDJシステムです。

 NI TraktorだけあればDJが出来ると思いがちですが、PCで発信した音を外部機器へ経由するための機材「オーディオインターフェイス」というものが必要になります。以下、想定読者を学生としていますので全て学生証提示が必須の「アカデミック版」を購入した場合に話を統一します。

まとめますと

 デジタルDJをするために最安セット

 プロ仕様:Traktor Pro + Audio Kontrol 1 = 4~5万円

 廉価版仕様: Audio Kontrol 1 (Traktor LE同梱) = 3万円


 Traktor 3 LEとは:Traktor Pro仕様の廉価版。最大デッキ数2つであり、ミックスファイルの作成やプレイのリアルタイム録音が出来ません。従って録音するのではなく純粋DJプレイだけが目的の場合はお役立ち、DJプレイを録音にして人に聴かせたいタイプの自宅DJにはちょっと厳しいかもしれません。

 です。wave , mp3ファイルは勿論、他ありとあらゆるファイルタイプに対応していますので簡単に言うと3万円でDJキットが揃う訳です。アナログDJでこれぐらい安価にセットを用意しようとすると相当な妥協を余儀なくされますのでこの価格はかなり驚異ですね。

 ちなみにさっきからしつこく追っている業界標準ですが、Digital DJ = 持ち込みであるので、あまり関係がありません。どうせ持ち込みですから好きなものを持ち込みましょう、今ならやっぱりとても安くて有名なTraktorシリーズが問答無用にお薦めです。

 しかしPIONEER CDJシリーズにも手触りによって高価⇔安価なものがあるように、マウスクリック+キー操作で我慢出来ない人のためのグレードアップがデジタルDJにも当然存在します。




5.2. デジタルDJ (ハードウェア同期)


NI TRAKTOR SCRATCH PRO
6万円~25万円程度


Rane Serato Scratch Live
8万円~28万円程度


両シリーズデモ動画 及び 概念図

 21世紀におけるDJ技術の大進化であり革命であるTraktor Scratch及びSerato Scratchですが、本入門講座では無視します。

 概念図を見て頂ければわかる通り、これらは既存のDJセットにソフトウェアを上乗せする形式であり、これらには安く済ませようと概念がありません。従って、ハードウェア同期によって出来ないことは何もなくなっていますし、むしろアナログDJを超えたパフォーマンスが可能ですが、本講座は貧乏高校生のための入門講座ですので、「凄い」の一言で走り抜けたいと思います。

 ちなみに、世界シェアではSerato Scratchの方が有利であり、日本国内ではTraktor Scratchのシェアの方が微妙に高い気がしますが、それはソフトウェアオンリーのTraktor Proが多いからそう見えるだけであってハードウェア同期の業界ではSerato Scratchの方がシェアが高いかもしれません。

 しかし、どうせ持ち込みですので私達にはシェアなんて関係在りませんね。ヒップホップ専門クラブならともかく、私達が行くようなクラブで初めからSerato Scratchを常設してくれている超高級DJブースに出会うことは2008年現在まず無いと思います。ハードウェア側もフルセットで準備すると大体20万~40万円程掛かりますので、慎重にあなたの好みで選んでみて下さい。

 1:デジタルDJは全て持ち込みだから業界シェアは関係無い
 2:今なら3万円DJプレイが可能なTraktorシリーズがお薦め
 3:クリック & キーだけでDJプレイが自動的に出来てしまう
 4:殆どのDJ的な作業が自動で出来るのでプレイ中かなり暇です
 5:つまりアナログDJは手間にお金を出しているのかも?そこは価値観の問題
 6:デジタルスクラッチはお金が掛かるので大人になってから考えよう




6.自分に合ったDJスタイルは何か?

 以上の基本要素から、DJはアナログレコード・CDJ・ミキサー・PCDJ・オーディオインターフェイスという組み合わせで成り立っていることがわかります。しかしお金は無限ではありません、実際にDJセットを組み始めると自分の基本となるDJセットが組み上がります。それは即ちあなたのDJスタイルと言って良いでしょう。

DJスタイル 組み合わせ例
ターンテーブルCDJミキサーPCDJオーディオ
インターフェイス
費用
A
B××
C×××
D×××
E×××



A : フルセット +α
B : フルセット
C : ターンテーブルセット
D : CDJセット
E : PCDJセット

6.1.DJスタイルは組み合わせとグレード

 以上の基本要素を元に大まかにDJセットの組み合わせて見ました。簡単に言うと以上のような組み合わせ例が考えられます。まず組み合わせです、これにはA~Eのパターンを付けました。次にグレードです、費用に高・並・低を付けましたが勿論同じ組み合わせの中にも高いモノと安いモノがあります。あなたが希望するDJスタイルはどれでしょうか?

6.2.DJスタイルは持っているメディアの数で決めよう

 とはいえ、そう簡単に決められるのなら何もこんな入門講座を読む必要はありませんね。ここで一つの価値基準を提示してみたいと思います。それは「DJスタイルは持っているメディアの数で決めよう」という考え方です。

 メディアとは当然、音楽メディアのことです。簡単に言うとあなたが楽曲を最もよく聴く方法はレコードなのか?CDなのか?MP3なのか?ということです。これは何故なら、ターンテーブルさばきに憧れてはいるものの実は持っている音楽作品はCDが殆ど、という場合は折角の投資が無駄になってしまうからです。

 色々な考え方があると思いますが、私は即戦力のメディア数をDJスタイルに反映させるのが一番自然ではないかと思います。しかしこの場合、初めからノンストップ・メドレー形式で収録されているCD(いわゆるMIX CD)は除きます。予めノンストップ形式で収録されているCDをDJに使うのは最初は難しいからです。でもそんなこと言っても多分ある程度DJになれたら普通に出来てしまうのでしょうね。

 話が複雑になりました。これはつまりこのような提示です。

 A : どんなに費用が掛かってもいいから何もかも実現したい
 B : レコードとCDとお金が沢山ある
 C : 持っている音楽メディアはレコードがメイン
 D : 持っている音楽メディアはCDがメイン
 E : 持っている音楽メディアはMP3がメイン

 この場合、Bの比較はレコード収録楽曲数とCD収録楽曲数の大幅な隔たりのため容易に比較出来ることではないかもしれません。あくまでもあなたが実際にDJに使いたい楽曲がどちらに多く収録されているかがポイントです。

 また、単純な比較ではDなのだけれど、CDの殆どはJ-POPであり今後DJプレイでJ-POPを活用させるつもりがない場合はCかもしれません。更には近年のアニソン・同人音楽フィーバーにより、単純な比較ではCなのだけれど、自分はアニソンDJとして頑張っていきたい!と思う場合はD更にはEである必要があるかもしれません。これは一つの価値基準の提示に過ぎません。最終的な判断は各々がつけましょう。

 さて、これで組み合わせが決まりました。実際にDJセットを買ってみましょう。ここからはもうそれはお財布との戦いです!

 1:レコードを沢山持っている人はアナログDJになりましょう
 2:CDを沢山持っている人はCDJになりましょう
 3:iTunesしか聴かない人はPCDJになりましょう
 4:お財布に余裕がある人だけフルセットで買いましょう




7.実際にDJセットを買ってみよう

 以上の基本要素を組み合わせて実際にお財布と相談しながらDJセットを買ってみましょう。以下、PowerDJ'sセットをリンクに組み込んでいるため、自動でそのグレードに合ったランクのヘッドフォンとレコード針が付いてきます。

A-1 フルセット+α 松



Serato Scratch Live 8,1600円
PIONEER CDJ 1000-MK3 x2 290,000円
Technics SL1200-MK6 x2
& PIONEER DJM-800 SET
328,000円

計 : 69万9600円

好きにすればいいじゃない、だってそれ君の人生だもん...


A-2 フルセット+α 竹

中途半端に豪華な感じが素敵
実際のところ、デジタルスクラッチ完備のお店でDJした経験がありません


B-1 フルセット 松



PIONEER CDJ 1000-MK3 x2 290,000円
Technics SL1200-MK6 x2
& PIONEER DJM-800 SET
328,000円

計 : 61万8000円

実際にクラブに常設されているかもしれないDJセットで最も豪華なパターン
DJしにいってこれぐらい並んでると何もかも安心します

実際のクラブにはこれと同じ形で型番が低い機材が並んでいる
という想定でいいと思います(800mk1-1200mk5-600-1200mk5-800mk1等)。


B-2 フルセット 竹



PIONEER CDJ 400 x2 139,600円
Technics SL1200-MK(5~6) x2
& PIONEER DJM-600 SET
23,8000円

計 : (32万~)37万7600円

自宅であり得そうなDJセットの中で最も頑張ってるセットだと思います
中古でテクニクスのMK5ぐらいを見つけてくると、後4・5万は安く出来ます


B-3 フルセット 梅



PIONEER CDJ 100 x2
& BEHRINGER DJX700 SET
94,800円
Technics SL1200-MK(3~)6 x2 139,600円

計 : (14万~)23万4400円

有無を言わせずベリンガーを選ぶところが大変素晴らしい心掛け、
来年の今頃にはミキサーだけ別のモノに取り替えるぐらいの覚悟ですね。

ターンテーブルは中古でMK3を二台探し出しましょう!
出来れば既にライトが切れてる奴を!更に8・9万円安く行けます。


C-1 ターンテーブルセット 松



Technics SL-1200MK6 x2
& PIONEER DJM-909 SET
269,800

計 : 26万9800円

2ch型で恐らく最強のセット、このぐらい投資出来るのにCDJを買わないのは
余程CDメディアに興味がないのだろうな、と思わせる思い切ったセット。


C-2 ターンテーブルセット 竹



Technics SL-1200MK(5~)6 x2
& PIONEER DJM-400 SET
189,800

計 : (13万~)18万9800円

なんの変哲もないけれど、一部の隙もないスタンダードなDJセット。
ターンテーブルをMK5の中古、ミキサーをもう少しグレードダウンすれば
更に5万円近く安く行けると思います。世界中に溢れてるであろうDJセットです。

C-3 ターンテーブルセット 梅



Technics SL-1200MK(3~)6 x2
& BEHRINGER VMX-200 SET
143,800

計 : (5万~)14万3800円

悪いのは俺じゃない、悪いのは貧乏だ

当然実際に買うターンテーブルはMK6ではなく中古のMK3

いくらベリンガーとはいえこれ以上グレードダウンすると2バンド式になっちゃうし...
ターンテーブルも安さに負けてアメリカンオーディオ買っちゃったら元も子もないし...
という限界まで切り詰めたセット

後はどれぐらい状態の悪いMK3をヤフオクでゲット出来るかが勝負
勿論、値段次第では全てが一年後には壊れている前提が必要なセット

ちなみにこれ以上は新品で買うとNEU社×ベリンガー社という時限爆弾セットでも最低5万円はします。個人的にはそれなら中古で業界標準機を狙った方がお得ではないかと思うのですが如何でしょうか...

D-1 CDJセット 松



PIONEER CDJ-1000 MK3 x2
& PIONEER DJM-909 SET
419,800

計 : 41万9800円

2ch型で恐らく最強のセット
これだけ投資出来るのにターンテーブルを買わないのは21世紀ならではでしょうか

例え持ち主が「レコードなんて歴史の遺物だ」とかそういう暴言を吐いていても
このぐらい拘りのセットを組んでいれば納得ですね

D-2 CDJセット 竹



PIONEER CDJ-400 x2
& PIONEER DJM-400 SET
204,400

計 : 20万4400円

一部の隙も見せずに気取りすぎないスタンダードなDJセット
音量控えめのオシャレカフェに実在するコンパクトでパワフルなセット

ダウングレードしているように見えて
実は少しも控えていないので結構なお値段が致します

あとはCDJの型番やミキサーの型番を
どのぐらいダウングレード出来るかが勝負

ちょっとお値段が張りますが、これからDJを始める人は
是非ともここを基準に探して欲しいと思います


D-3 CDJセット 梅



PIONEER CDJ-100S x2
& BEHRINGER VMX-200 SET
84,800

計 : (4万~)8万4800円

真面目な話、日本で一番流通しているのではないかと思われるDJセット
勿論CDJ-100は中古市場から購入するので実際のお値段は4万円から

切り詰めるところは最大限切り詰めており、下手に見栄を張って
CDJ-200とかを買わないのがとても潔いです(正直、200は微妙です)

困ったときのベリンガーはもはや標準、
このぐらいコンパクトに済ませるとどれか一つが例え壊れたとしても
舌打ち一つと「金さえあれば...」のため息で解決可能な落ち着き所


E-1 PCDJセット 松


デジタルDJソフトウェアとオーディオインターフェイスと
高級コントローラーという文句なしのデジタルDJセット

NI社がオーディオインターフェイスとしてAudio Kontrol 1をプッシュしているだけであってこちらは業界標準EDIROL UA-25EX等でも代用可能です。

同様にコントロールインターフェイスもHERCULES DJ CONSOLE MK2(※リンク先はMAC版)等で代用可能です、これはお好み。


E-2 PCDJセット 竹


最も標準的なデジタルDJセット
コントローラーが無くなると途端に見た目力が下がりますが
お財布事情的に言ってそんなに文句も言っていられません

E-3 PCDJセット 梅



NI Audio Kontrol 1 29,800

計 : 2万9800円

切り詰めるところまで切り詰めたデジタルDJセット、
DJソフトウェアを購入していないように見えて実は
Audio Konrtrol1にNI Traktor LEが内蔵されているというマジック

プレイの録音等は出来ませんが、一応DJは普通に出来ます。
後からProバージョンに有償アップグレードが出来るのでとりあえずものは試しです

それにしてもハードウェアならとっくに限界を超えている価格設定、
ベリンガーならこの時点で三回は壊れてますね

ここまで切り詰めても何も失うことがないのが
デジタルDJの安さの秘訣かもしれません




8.番外編、個性さんへの道のり



 如何でしたでしょうか、出来るだけリアルな入門編を書きたかったので後半はお金の話ばかりになってしまいましたが、少しでもお役に立てれば嬉しいです。

 一度記事を区切りますが、ここまでが「現場DJデビューを目標とする業界標準機一点集中」の入門講座でした。しかし世の中には「みんなと同じことをしていちゃつまらない」「標準がなんだ、機材なんて持ち込めばいいじゃないか」という方が沢山います。私もそんな中の一人です。

 また実を言うと、以上のような業界標準機一点集中の入門の仕方では、「私の県にはクラブが一個しかない」という地域では全く持って役に立ちません。今すぐブラウザを閉じてそのお店の機材リサーチをお願い致します。しかしながら東京・大阪では上記の入門講座は必ずやお役に立てるはずです...

 という訳で「如何に標準的に買い揃えるか」を目標にした入門編は最後に番外編を「個性さんへの道のり」を書いて終わりたいと思います。はっきり言ってこれ以降は入門には何の役にも立ちません、それでもお付き合い頂ける方は次回更新もお付き合い下さい。

 後、ギャグだと思っている人がいると大変なので何度でも言い直しますが、ベリンガーは確実に壊れます、壊れないベリンガーそれはもはやベリンガーではありません。これがDJスキルが中途半端についてきた実に良い時期に壊れるんです。ということで、私はベリンガーが結構好きです。

自分語り131-初心者のためのDJ機材 入門講座(前半)


初心者のためのDJ How to Setup - by 石橋楽器店


1.はじめに

 長文傾向のブログを運営しているからでしょうか、イベント中にお客さんに「DJを始めたいのだけれど、基礎知識がないから教えて欲しい。」というご相談を受けることが多くなってきました。私は確かに最近でこそパーティーに呼んで頂いてDJをすることが増えてきましたが、プレイするジャンルもとても偏っており、特別テクニカルなDJを行うタイプでもありませんので、これからするお話はDJ TECHNORCHだからこそ出来る入門講座という訳ではなく、DJを日頃している人間からすると極めて一般的な知識が立ち並んでいる入門講座です。

 ただ、現在進行形でDJしている身として、「どれだけ安く機材を揃え・自宅DJ中の変なクセを現場に持ち込まない」かが如何に重要なことであるかは実感しているつもりです。DJというものに少しでも触れたことがある人は殆ど知っている知識で埋まった記事になっていると思いますが、最新音楽雑誌のように無用に新製品を押しつけることもなく、かつ最近急速に変化しつつある同人音楽系クラブミュージックとの兼ね合いも載せて書いているつもりですので、ご存じの方は軽い復唱のつもりでお付き合い頂ければ幸いです。

 1:DJ初心者にとって如何に安く安全なモノを買いそろえるかは死活問題
 2:無闇に新製品はお薦め致しません、スタンダードを探しましょう





2.想定読者とその意図

2.1.想定読者

 本記事の想定読者はぶっちゃけていいますと、人物像としては「ゲーム音楽・同人音楽系クラブミュージックから音楽を知り、最近レコード屋でテクノ・ハウスを聴き始めた貧乏高校生」であり、音楽像としては「最近日本人アーティストが作ったちょっぴり個性的なクラブミュージックに慣れ、これからレコード屋に行ってちょっくら本場のハピコア・ガバを買って、いっちょDJの一つでも始めてみようではないか。」と考えているような読者を想定しています。

 まず大変に重要なことですが、最終的に現場でDJをしてみようと考えていることが大前提です。自宅DJではじめ自宅DJで終えることが最終目標である場合、選択肢は驚異的に広がります。自宅でどのようなクセがついたところでそれは即ちあなたの個性であり、このような入門記事は必要ありません。この記事は自分語りには珍しく断言口調の発言が目立ちますが、それはひとえに現場DJデビューを目標としているからに他なりません。

 ということで本記事の想定読者として既に現場でのDJ経験が30回以上あり、シスコレコードが潰れたことがリアルにショックなレコードファンを想定していません、そういう人が読むと確実に飽きる記事になっています。特にジャンルとしてHOUSE/TECHNO/TRANCE/HARDCORE DJ一直線で想定しております、HIP HOP/R&B/REGGAE DJを目指す場合は機材選びを誤ります。必ずこの想定読者に自分がハマる場合のみ参考にして下さい。

 実記販売店として全てのリンクをDJ機材専門店PowerDJ'sへ付けてありますが、以下で紹介する楽器は基本的にほぼ全ての楽器屋に置いてありますので、ご近所に楽器屋がある場合は別途そちらでご相談下さい。また中古市場はYahoo!オークションがありますが、ビックリするぐらい何の保証もありません。出来れば中古も現地でお店の人に相談した上でご決断下さい。

 1:現場DJデビューすることを目的にしている読者が想定です
 2:現場DJデビューしない場合、如何に個性的な機材を購入しようとそれは個性です

2.2. 何故 業界標準機 をお薦めするのか

 以下、業界標準機を個々の資金力に合わせて紹介する文章となりますが、そもそも何故現場DJデビューをする想定読者を相手にすることが業界標準機の紹介に繋がるのでしょうか?

 まず、実際にクラブデビューするとDJブースに用意されている機材がどこのクラブでもグレードにこそ差があれ、基本的には同じシリーズの機材であることに気がつかされます。詳しくは個々に述べますが、ターンテーブルであればTechnics SL1200、CDJであればPIONEER CDJ-1000もしくは800、ミキサーであればPIONEER DJ-Mシリーズ(もしくはちょっと変わっていたとしてもVESTAX PCVシリーズ)であることが殆どです。

 例えばあなたがDJデビューをする機会を得たとして、自宅でのプレイヤーがDENON DN-Sであり、ミキサーがVESTAX PMCであったとします。あなたは新人DJであり、ラウンジDJであり、簡単に言うとイベントでの立場があまり大きなDJではありません。

 そんな新人DJのあなたが、デビューの舞台を完璧にするためにいつも通りの機材でプレイしたいと思ったとして自宅の機材を全て持って行きたいとオーガナイザーに言えるでしょうか?そしてあなたはその大量の機材を持ち運べるでしょうか?オーガナイザーがそれを一々全てのDJに許可するでしょうか?

 例えあなたがDENON DN-SでCDをプレイし、VESTAX PMCでのミキサー使いに慣れていようとも、現地に置いてあるプレイヤーはほぼ確実にPIONEER CDJ-800であり、ミキサーはPIONEER DJ-Mでしょう。DN-Sでなければ出せない独特なプレイは確かにありますが、それは一々DJごとに機材を切り替えてまで代用が効かない程、特別なプレイが期待されている訳ではりません。そうなると当然あなたが何のプレイヤーでDJをしていようとも否が応でも現地では業界標準機でプレイせざるを得なくなるのです。

 初のデビュー舞台が、使ったこともない機材、これ以上恐ろしいことがあるでしょうか。現地ではDENON DN-Sの盤面の触り心地とも、VESTAX PMCのEQの触り心地ともまるで違う感触があなたを襲います。そしてその日をなんとか乗り切っても次回もその次回も同様の環境でのプレイを強いられます。

 そして私達は後悔するのです。こんなことならば初めから業界標準機を買っておけば良かった。だからこれは「現地DJデビュー」を目指す人を想定読者とした入門講座です。現地でDJデビューする目標がないのならばこれ以上強い個性はありません。各社の個性的な機材はあなたに他社とは異なる触り心地という個性を与えてくれるでしょう。しかし、その独自の触り心地は現地において新人DJにとってかなりの驚異です。だから私は薦めます、業界標準機を。

 1:DJデビューをする時に自分の機材は持ち込めない
 2:一度覚えた触り心地はなかなか取れない
 3:あなたの培ってきた個性、即ち「クセ」は、現地において驚異になる
 4:業界標準機さえ初めから使っていればこんな苦労はなかったのに!

2.3. 何故業界標準機は偏るのか

 そもそも、何故どこのクラブに行っても似たような機材が置いてあるのでしょう。お店からすれば当然です。定番の機材さえ決まってくれれば、お店としてはそれ以上機材経費をかけずにブースを固定できるからです。ターンテーブルはTechnicsであり、CDJはPIONEERです。

 選択の幅がやや広くなるDJミキサーもテクノ・ハウスしかプレイされないクラブであれば大体はPIONEER DJ-Mが有利であり、ヒップホップがプレイされる可能性もあればややトリッキーなプレイにも対応出来るVESTAX PCVが置いてあるかもしれません。即ち業界標準機の数種さえ抑えて置けばお店的には大丈夫な訳です。

 お店の立場になってみましょう、DJもカツカツですが、クラブもカツカツなのです。だから業界標準機はほぼ一社独占になる訳です。独占されていないということは即ち個性的であるとも言えますが、あなたが持ち込んだ機材は個性的であるが故にDJブースに物理的に収まらない可能性があります...私達はそれを覚悟して持ち込まなければならないのです...

 1:お店も商売なんですね
 2:むしろ聞いたこともないような機材しかないクラブは段々信用を失っていきます
 3:DJ的にも使い慣れた機材があると助かります





3.DJは何をしているのか?

 ここではまずDJはDJブースで何をしているのかを考えます。「DJプレイはどうやってするのか?」ではありません、「DJは何をしているのか?」です。まず結論として一般的なDJは「左のプレイヤーで曲が鳴っている最中、ヘッドフォンで右のプレイヤーで鳴っている曲を聴き、テンポを合わせて、真ん中のミキサーで両方を混ぜて繋げる。」という作業をしています。一曲変わったら右と左がバトンタッチで交代します。今、もの凄い適当に言いましたが本当にこの一言に尽きます。

 ターンテーブル・CDJのようなアナログ的なプレイヤーでテンポを合わせるにはかなり正確なモニタリングが必要になりますが、これには大音量のクラブでも正確な音が聴けるハイパワーなDJ用ヘッドフォンが必要になります。最近登場したデジタルDJではテンポ合わせはマシンが行っているため、曲確認程度の大雑把なモニタリングで十分対応可能ですのでイヤフォン等でも作業が可能です。

 まず、一般的なDJのための基本要素を考えてみましょう。これらの要素の組み合わせでDJタイプが決定します。DJスタイルとはそれ即ちその人の個性です。しかしながら実際問題、自分にあったDJスタイルというよりは、基本的には何万円まで自分が音楽に投資出来るかが鍵だと言って良いのではないかと思います。以下、お財布と相談しながら読んでみて下さい。

 1:基本的に目的とする楽曲が次々繋げられれば問題ない
 2:デジタルDJの登場により楽曲繋ぎが革命的に楽になりました
 3:楽になりすぎて何もしないDJが登場しました、それはそれ、これはこれ





4.DJ機材 三大基本要素

4.1.ターンテーブル (レコードプレイヤー)

 ご存じ、レコードをプレイするために必要なレコードプレイヤーです。まず断言しますがターンテーブル業界はほぼTechnics一社独占状態です。あなたがDJを目指す場合、どのようなクラブに行っても殆ど100%Technics社のターンテーブルが置いてあることを念頭にターンテーブル選びをして下さい。

 まず、ありがちなこととしてテクニシャンなDJを目指してVestax社を購入してみたり、特に深刻な問題として安いからという理由でAmerican Audio社を購入すると、回転ターンテーブルの物理的なクセが体に染みつき、実際にDJプレイした際に致命的な状況に陥ります。

 ほぼ一点決めでTechnics社のターンテーブルを狙いましょう。高い安いは現行機種としてTechnics SL1200-MK3 / MK5 / MK5G / MK6があります。2008年現在MK3の中古を狙うと相当な安価で購入することが出来ますが、発売から相当経っているのでさすがにちょっと心配ですね。しかし残念ながらSLシリーズはちょっとやそっとでは壊れません。色々と変なクセが残ったりしますが本当に壊れにくく、未だに小さいクラブではMK3がそのまま置いてあります。とはいえ2008年現在流通しているMK3の殆どはライトの寿命が切れていると思われますので、見た目を気にする場合・確実に安全なプレイヤーを捜す場合はMK5以上を狙いましょう。

 MK5とMK6では安定性が向上したと書いてありますが我々素人には理解不能です。MK6を買う理由は素直に「新しい」からで良いと思います。ちなみにMK4は無かったことになっています。MK3, 5, 6はピッチが0~8%で変化可能ですが、MK5Gのみテンポ0~16%と幅広く変化可能となっています。基本的に10%以上の変化は殆ど使わないと思いますがあなたがSCHRANZ DJを目指す場合は大変に役立ちますのでMK5Gをお薦め致しますが、それ以外の場合は基本的に中古のMK5を買っておけば間違いないと思います。

 1:ターンテーブル業界はテクニクス一社独占状態
 2:安いからと言ってアメリカンオーディオを買わない!
 3:シュランツDJ等の特殊な場合は除き、MK5Gのような特殊ピッチは必要ない
 4:MK5の中古を狙えば安心です
 5:価格は最低3万円~最高7万円ぐらいです

4.2.CDJ (プロ用CDプレイヤー)


PIONEER CDJ-1000 / 800 / 400 / 200 / 100

 再び断言します、CDJ業界はPOINEER一社独占です。自宅でプレイする場合はまだまだ一社独占とは言い難く、TECHNICS, DENON, NUMARK等が各社大変に個性的なプレイヤーをリリースしています。しかし再び断言します。現場のDJブースは殆ど100% PIONEER CDJ-1000/800しかありません。

 お金のないクラブやラウンジDJ担当になった場合はクラシカルなCDJ-100が置いてあってちょっぴり残念な気持ちになりますが、とにもかくにもCDJはPIONEER CDJシリーズが一社独占状態です。

 CDJはまだCDJというものが「操作性はアレだけれど省スペースにはなる」という程度の扱いだった時代にPIONEER CDJ-1000という「ターンテーブルに負けない革命的なCDJ」が登場し、以後一社独占状態になりました。あまりの人気に廉価版シリーズが大量にリリースされていますが、少なくとも1000 / 800のスクラッチ具合はほぼターンテーブルと同等です。あとは値段で選びましょう。

 ちなみにお金の問題でCDJ-1000 と 100を購入するとかすると、練習中にもの凄いイライラします。お金がないなら200を2つとかそういう方向性で選びましょう。

 1:CDJはPIONEER CDJシリーズ
 2:CDがスクラッチ出来るのは当たり前の時代
 3:違う種類のCDJが一台づつ置いてあるとDJを辞めたくなるので注意

 CDJシリーズの最上位機種、MK1~3まで存在し、一台大体10万円~15万円で買えます。スクラッチが出来るのはもはや当たり前!波形が目で確認出来るのが実はかなり重要で、楽曲展開が視覚的にわかるのが特徴。MK2まで1000はスクラッチテーブルが重く・800が軽いという特徴がありましたが、MK3に重さを調整するつまみが登場し、更にはMP3をつめたCDRの取り扱いも開始、出来ないことがほぼ何もなくなりましたがとても高価です。現地DJブースには必ずこれか800が置いてある。

 1:自身のDJスタイルがCDJオンリーの場合、いつかは持ちたい最上位機
 2:とりあえずこれを使っていて困ることは何もない

 CDJ-1000の爆発的なヒットから登場した廉価版、もちろんスクラッチタイプ。一台7万円~9万円で買えます。廉価版とは言うモノの、最大の弱点である「波形が目で見えない」という点を除けば、その使い勝手は1000シリーズとほぼ一長一短であり、こちらにだけついているビートループ機能が好きでこちらを選ぶ人も多し、MP3ファイル入りCDRも取り扱えるようになり大定番。現地DJブースには必ずこれか1000が置いてある。

 1:波形表示に拘る人と拘らない人がいる、値段と考えると1000とは一長一短
 2:私達がプレイするようなサイズのクラブは1000より800の方が多い

 ホームユースを謳う現行最新機種。スクラッチが出来るタイプのCDJとしては最も安価ですが、一台7万円と安いのか高いのかわからない価格が悩みどころ。MP3は勿論、ついにUSBの取り扱いが可能になり、Vinyl DJ, CDJ, PCDJに加えついにUSBDJの時代が来たことにみんなが驚きました。番号が800の半分しかないことからもわかる通り、スクラッチ機能などは1000 / 800に比べると大幅パワーダウン。

 しかし、某有名トランスDJがワールドツアーで「レコード重い」の一点張りでUSB片手に世界を飛び回る際、現地にわざわざ本機を用意させる等、トリッキーかつ過激なスクラッチを要求しないならば相当な高品質を持っているといって良いと思います。

 ホームユースとしては私としては一番好きな機材なのですが、如何せんホームユースなのに微妙に高いのがたまに傷、だから大概の人は「新品のCDJ-400よりも中古のCDJ-800」を購入するため、私自身あんまり持ってる人は見かけない微妙な立ち位置の一作。ホームユースを意識してエフェクトを付けたりするのは良いのだけれど、そういう余計な機能を削ってあと2万円安く出来れば相当ヒットすると思います。

 1:性能的には相当素晴らしいけれど、高いのか安いのかわからない
 2:DJ中心ではないオシャレカフェにたまにある程度で、正直普及していない
 3:USBDJ専門として活動したくてもクラブにCDJ-400自体が置いていない
 4:スクラッチプレイがしたいなら800以上を買おう

 スクラッチが出来ないタイプのCDJの中で一番高品質なタイプ、一台5万円。これ自体にエフェクトがついていたり、相当ホームユースを意識している様子。形もカッコよく、お金の問題がないなら自宅DJではこれぐらいをチョイスしておきたいところ。でも逆に言うと、家で使うには機能の割に高く感じる矛盾。このぐらいお金があるならもうちょっと出して800の中古を買うし、このぐらいしかお金がないなら100を買うのがありがちです。テーブルタッチがシリーズ中、唯一独特なこともあり、非常に普及率が低い。

 1:CDJ-200が二台並んでる自宅DJってなんだかオシャレ、でもそれだけ
 2:機能が中途半端、魅力は基本見た目だけ、本当にここは資金力が勝負

 シリーズ中再安価機材。実はシリーズ中、本機だけ特別古いので中古が大量に出回っているため、実に一台1万5千円~3万円というお値段で買えるのが非常に心強い。安いだけあって操作性はアレですが、本来CDJってこのぐらいのインターフェイスが普通なので如何にCDJ-1000が革命的だったのか実感させられますね。今でも大きめなクラブのラウンジフロアや、小さいクラブのメインフロアに現役で置いてあり、CDJ-1000に「CDJモード」で本機と同じ操作モードが搭載されているため、本機さえ使えればCDJはどれでも大丈夫な一台であるのも確か。お財布事情が苦しい場合は迷わずこれを2台!と行きたいところ。勿論スクラッチなんて夢のまた夢。自宅DJ及び小さいクラブの強い味方です。

 1:お金がない時の強い味方
 2:変なクセがないので、これさえ使えればCDJシリーズは何でも扱えます
 3:新人DJのデビュー時には、現地にこれがあると想定しておこう




4.3.DJ ミキサー

 話がややこしくなります。次はDJ ミキサーです。ミキサーは各プレイヤーから発信された音を混ぜ合い曲を繋げる要となる機材です。そのDJミキサー業界ですが、業界標準機があるような...ないような...微妙な状態です...具体的な現状を言いますとテクノ系クラブ5店に4店はDJM-800 / 700 / 600のどれかを常備していますが、前日にヒップホップイベントがあった場合、スクラッチに強いVESTAX PMCシリーズ等が置いてある可能性もあります。また、ハウスに強烈に特化したクラブでは稀にRODECシリーズが置いてありますが、これは非常に独特なインターフェイスを搭載していますので、DJミキサー業界は決して一社独占ではありませんが、以降簡単のため、「多分現地にも置いてあるであろうDJミキサー」としてDJMを基準にお話致します。

 まず、業界標準機800 / 700です。DJM-1000というあんまり現場では見ない高級機を除いた場合、この二つが現場での最高品質といえます。特にまともなクラブであれば機材リストの中にDJM-800は必携であり、小さいクラブでDJM-800で置いてある場合、そこは相当機材的に信用してよろしいところかと思われます。以前はDJM-600がほぼ業界標準機であり、ちょっと古いクラブではまだまだ現役です。

 DJM-400は、そもそもクラブという空間で2チャンネルミキサーというものをあまり見かけないので業界標準とは程遠いですが、何が大事かというとパイオニア社独特のEQツマミの重さと縦フェーダーの重さが同じであることだと思われます。

 現在、大体のテクノDJはDJミキサーの感覚をDJMシリーズを標準に培ってきているかと思われます。この感覚とはつまり、EQツマミが結構にでかく、±0dBで一度カチッと止まること(センタークリック)、低音を完全に振り切るとアイソレーター状態になり低音成分が一切聴こえなくなること、縦フェーダーのフェーダーカーブが大体リニアであることが条件であると言えます。

 EQの切れ具合(±16dBまでしか切れないミキサーなのか、±32dBもしくは-∞まで切れるミキサー)なのかは体感的に非常に重要であり、慣れない状態で現場に向かうと思った以上にEQが切れてしまったりして理想の繋ぎが出来なくなります。逆に慣れてくると大概のEQの切れ具合はどうでもよくなってきます、そこは慣れが勝負。また、ヒップホップミキサーに多いのが縦フェーダーがリニアではないこと、縦フェーダーを8割程進めた段階で急に音が入ってくるようなヒップホップ向けミキサーが業界には沢山ありますが、テクノではDJMなリニア感が定番です。また、DJMシリーズには横フェーダーのリニア感を調節するものが多く。バトルDJならともかく、大概の場合はスクラッチもDJMシリーズで問題在りません。では何が問題なのか、それはズバリ価格です。
 
 実に800は20万円、700は15万円、600は10万円、2チャンネル式の400ですら6万5千円します。例えCDJ-100x2で3.5万円まで切り詰めてきても、ミキサーがこれでは自宅DJはやっていられません。それではやはりここまで来て業界標準機の手触りを手放すしかないのか?そこで役立つのが業界標準機のパクリ会社、その名もBEHRINGER社です。

 安いですね!性能は名前からご推察下さい、まず価格をご提示致します。左から5万円、2万5千円、2万円、1万5千円、1万円です。ご覧下さい、DJX700とか清々しいですね!なんと言っても安いですね!見ての通りDJM-700のパクリです!他のシリーズは似たような名前のVESTAXのパクリです。簡単に言うと2万5千円でDJX 700を買って下さい!大体1年ぐらいで壊れます!

 全体的な安っぽさと触り加減の違和感は色々とアレですが、現地でギリギリDJMに切り替わっても何とかイケるぐらいに似ています。というかなんといっても安いですね!個人的にはVESTAXやGEMINIで安めのミキサーを買って変なクセをつけてしまうよりもこの手のパクリメーカーから「消耗品」覚悟で安く買って段々とステップアップという方が余程シンプルな気が致します。ここについてはいくらでもツッコミどころがあるので、当方即座に撤回する覚悟があります。でも安いですよね!

 1:ミキサーの手触りは予想以上に大事、出来ればDJMシリーズに慣れておこう
 2:良いモノは高い
 3:安いモノは壊れやすい
 4:ベリンガーは誇張抜きで壊れます、壊れないソレはもはやベリンガーではない
 5:一度もお店で触ったことがないミキサーを買うのはとても危険

ベリンガーは嫌!という人のための選定ポイント
 ★:3バンド式EQを選ぼう (2バンド式は通常ヒップホップ向け)
 ★:EQが-24dB以上カット可能である方がテクノには使いやすい
 ★:EQつまみが最低限大きい (握りやすい)
 ★:EQつまみが重すぎない (一部のミキサーが異常に重い)
 ★:EQつまみにセンタークリックがある (ヒップホップ向けは中心で止まらない)
 ★:縦フェーダーが軽すぎない・重すぎない (好みの問題だけどもの凄く重要)
 ★:縦フェーダーの角度がリニア (ヒップホップ向けは非常に急激)
 ★:横フェーダーの角度が急激か、もしくは変更可能か (スクラッチの可否)
 ★:各チャンネルを混ぜてモニタリング出来るかどうか (意外と重要)
 ★:対象ユーザーがヒップホップかテクノ・ハウスなのかに注意する
 ★:一番買い換えの多い機材がミキサー (特にベリンガーは消耗品扱い)




5.後編へ

MEGA PEER, DENPA!!! お疲れ様でした

15日、16日はMEGA PEER, DENPA!!!お疲れ様でした。
ここまでの規模のイベントを連日に
全く異なる客層を相手に
全く異なるパフォーマンス方法で演出させて頂き、
その両方でこれ程まで喜んで頂ける環境にある今が本当に幸せです。
皆さん、ありがとうございました...

実は今日も引き続き大変重要な作業があり、
更新作業が出来ません。あと一日だけお待ち下さい。

自分語り130 - 確実に売れるモノしか出版出来ない・せざるを得ないメジャーレーベルの苦悩

JPOPサウンドの核心部分が、実は1つのコード進行で出来ていた、という話

◆J-POPのコード理論は本当に形骸化しているのか?

 コード進行のお話と後半はJ-POPのコード進行の形骸化を危惧する記事です。こういうお話は理論がわからなくても「今まで何だかわからないけれど流行の曲が嫌い」という人の「嫌いの為のツール」に簡単になってしまうのでまた話が難しいです。というか私が一番この動画を理解していないのかもしれません...

 私の場合90年代よりも00年代の方が圧倒的に大量に音楽を消費しており、beatmaniaという作品に触れる前までは音楽そのものに触れることがなかった人ですので、人々の生活から音楽が離れつつあるのかどうかという点に実感が少ない人間です。これ自体があまり多数派とは言い難いものでしょう。まずこれが一点。

 そして何よりも以上のような経験からJ-POPリアルタイムではないため、殆どの人にとって10年前とは一番ダサイ時期であるという「最近の若い奴は...」という視点と、シブヤ系・パラパラを初めとするファッション一体型の音楽という視点を差し引いた状態で、「本当にJ-POPのコード進行が形骸化しているのかどうか」と検討出来るような楽曲知識がありません。本当にJ-POPのコード進行は形骸化しているのでしょうか?わかりません、私はあまりにもJ-POP体験が乏しすぎます。しかしこんなことを言っていてはいつまで経ってもJ-POPをまともに俯瞰することが出来ないような気がします...ここではリンク先の記事のように本当にJ-POPのコード進行が形骸化しているのだという結論を前提に考えてみます。

 J-POPのコード進行が形骸化しているのだとするとその原因はどこにあるのでしょう。もしそうならば、それは一重に作家の力量の問題なのでしょうか。本題を仮定のまま進めますが、私はそれよりも90年代にミリオンバブルを迎えた音楽業界の「筋肉質」な体形の方が問題になっているのではないかと思います。

◆レコードレーベルの新陳代謝

「筋肉質」になった企業が大量の非正社員からクビを切る地獄絵が始まる

 「企業が筋肉質になる」という表現は上記のリンク先をご参照願います。またしても私には雇用問題について検討出来る知識がありませんので置いておきますが、この記事は簡単に言うと企業の利益が上がっている時に従業員の給料を下げた(=「筋肉質」になった)結果、市場に何らかのトラブルが起こった際に「筋肉質」であるが故に簡単に故障してしまうというお話です、多分。90年代はテレビ・タイアップと一体化した音楽業界が不況の世に空前のミリオンバブルを迎えた正に「J-POPの10年」だったそうです。例えば私が世界で一番好きなレコード会社であるavex trax――余談ですが、私は音楽というモノをavex traxから学んだ人間だと思います。そのぐらい好き――は元は業界にクラブミュージックを導入した先駆的なベンチャー企業(ベンチャーは言い過ぎ?)でした。

 そんなavex traxが小室ブームや浜崎フィーバーで巨体化し筋肉質になり、不正コピーとネット時代という「市場のトラブル」を迎えた時に真っ先にCCCD(コピーコントロールCD)を導入し大失敗を経験しました。あまりにも巨体に、あまりにも筋肉質に成りすぎたが故に、産まれたばかりの時ならパン一つで食えていたモノが、常にステーキを食べていなければならない程の新陳代謝にステージアップしたのかもしれません。こうなった状態で市場のトラブルを迎え目前の利益を失うと大変苦しい思いをすることになります。急激に成長したこととCCCDという分かり易い対応があったため例としてavex traxを挙げましたが、結果、あらゆるメジャーレーベルが周知の通り悪戦苦闘の現在を送っています。

◆確実に売れるモノしか出版したくない

 明らかにこれまでとは売れるための方法が変わっているのにも関わらずあまりにも巨体で筋肉質であるためなかなか小回りが効きません。結果、多くのメジャーレーベルが「確実に売れると分かっているモノ以外はリリースしない」状態になっています。これのもっと分かり易い極限状態の業界として一足先に不況の煽りを食らった出版業界が思い当たります。今、出版業界は「紙媒体」としての苦戦を強いられ、極端な程「確実に売れると分かっているモノ以外は出版しない」状態になっているそうです。でかければでかい程、とにかく企画書が通らないそうです。だから名前で確実に売れることがわかっているお笑いタレントの企画本がもの凄く増えました。J-POPシーンも限りになくこれに近い状態に進んでいるようです。

◆カバーソングという「限りある資源」

 音楽における限りなく「確実に売れるモノ」とは何なのでしょう。確実に言える一つはカバーソングではないでしょうか。2007年DE DE MOUSEの大成功を例に「通」の最先端を常に揃えるヴィレッジバンガード――私は極端な話、同じ音楽でも「TSUTAYA」に置いてあればJ-POPで「とらのあな」に置いてあれば同人音楽で「ヴィレッジバンガード」に置いてあればサブカル音楽であると思っていますが――で最近大変なショックを受けました。置いてあるCDの殆どがカバーソングなのです。店舗面積に対して音楽コーナーが少ない(本来は雑貨屋である)ヴィレッジバンガードがHMVやタワレコ等の大型店に比べて、この傾向が大変ダイナミックに現れていてわかりやすいので例にあげました。とにかくメジャーレーベルが「確実に売れるモノ」を探した結果カバーソングの乱発に辿りついているのだと思います。ですがそんなカバーソングも軒並み乱発した結果もう息切れの傾向を見せ始めています。売れないなら売れないなりに企業としての規模を縮小させなければいけないのですが、巨体で筋肉質であるが故にそういう訳にはいかないのですね。しかしながらカバーソングにはネタ元という限りある資源があり限界が見えます――ネタ元の限りある資源というのはニコニコ動画も共通ですが、ニコニコ動画の職人は巨体ではないが故に失敗することに恐怖心がない。

◆王道コードは「限りない資源」?

 音楽における限りなく「確実に売れるモノ」とは何なのでしょう。もう一つ考えますとそれこそが「形骸化した」とされる王道コード進行なのではないでしょうか。通常、音楽業界にはメロディには著作権がありますが、コード進行には著作権がありません。この場合、理論上は限りない資源と言えるのではないでしょうか。話がズレますが、最近活気を見せる同人音楽の世界では、サークルの構成メンバーが1~3人とかであったりするため、非常に身軽であるため――だから虚弱体質でもある――、ある程度知名度のあるサークルがリリースするアルバムの中で「*割ぐらいはキャッチーで分かり易い曲、残りの曲は自分がやりたい好きな音楽」という方向でリリースされた作品が多数見受けられます。身軽な作家は、「確実に受けるかどうかわからない」作品をこのような形で即座にリリースすることが出来るのですが、巨体で筋肉質であるメジャーレーベルは全てのシングルリリースでコケる訳にはいかず――なんといっても一人の作家が作る楽曲の後ろには私達には信じがたい程沢山の社員の生活が掛かっている、それは「アナタ」だけの楽曲ではないのです――実験的な事が非常にしにくいのだと思います。次のシングルを確実にヒットさせるにはどうしたらいいのか、そこでやっぱり王道コード進行。コード進行という話とはズレますが、本来ならジャンル的に言ってメチャクチャに実験的なアプローチが出来るはずのChiptune/Breakcore畑のYMCK/DE DE MOUSEもメジャーレーベルに移ってからのアプローチは凄く苦労していそうです。メジャーレーベルに移ったからには、全ての作品がヒットしないといけないのですね...

◆アニメソングも筋肉質になるのか?

 最近アニメソングのポップチャートへの台頭が話題になっています。アニメソングをリリースするレーベルはまだJ-POPメジャーよりも比較的身軽であることも大事ですが、何よりも主題歌やキャラクターソングといった「確実に売れるモノ」である企画物をヒジョーにリリースし易いというのが強みなのだと思います。だから、アニメソングという楽曲の目新しさ、ジャンルとしての斬新さも大事ですが、ニーズを考えずに新陳代謝だけをステージアップさせてJ-POPメジャーと同じ轍を踏んでは大変なことになってしまうかもしれません。更に嫌みに近い言い方になってしまいますが――確認し直しますが、そんなつもりは毛頭ありません――実際問題、J-POPの王道コード進行並に「アニメ声」の声優が重宝されることや、「普段音楽と接することが無い」リスナーというのが、この業界では非常に重要な要素になっているのではないかと思います。

 こんなことを言うととてもネガティブな意味に取れる文章になりますが、そういうつもりはありません。業界が違えば相手が違うのは当然です。そしてだからこそこの業界では、「コード進行のバリエーション」よりも「元ネタのアニメのバリエーション」が優先されるかもしれないとか、今までの業界構造には無かった可能性を広げてくれるのだと思います。

 ということで、私はコード理論の形骸化というよりももしかしたらこれは出版経営の方の問題なのではないかな、と思いました。ちなみに同人音楽に関する「確実に売れるモノ」の考察は自分語り108 日活ロマンポルノと美少女ゲームと東方アレンジを参照願います。

エクサの口に戸は建たない



「エアーマンが倒せない」やら「みっくみく」やら「鳥の詩」やら「god knows ... 」やら、もう本当に数多くの楽曲が王道進行を使用しており、それゆえに「適当にかき集めた曲が、メドレーや二重奏で見事に綺麗に繋がる」ところが大変興味深いですね。先の音極道さんの動画がうpされた時点では「JPOP涙目wwww」「さすがJPOPは糞www」みたいな反応があったのですが、自分たちが支持していた曲もまさにど真ん中だったのがまあ面白いといえば面白かったかなw

◆結局何が原因なのか?

 こちら、コード理論がさっぱりわからない私にとってとても分かり易い記事だったので引用させて頂きます。私が冒頭に書いた「嫌いの為のツールとして安易に使いたくない」というのはこれなんです。※この動画は「あの有名な曲も実は王道コード進行だ」というのではなく「あの有名な曲に王道コード進行を載せてもこうなる」という動画です。

 私は以前、大好きな「みくみくにしてあげる♪」を耳コピした際にそのあまりのシンプルな構成に大変に驚いた記憶があります。何故あそこまでシンプルな構成で私達を感動させられるのか。あの楽曲はたった三音のベース音を一小節ループするだけで音が合わせられる程のシンプルな構成で出来上がっています。しかも楽曲制作を行うモノなら誰もが顔をしかめるであろうチープなミックスダウン。しかしあの楽曲から受け取る私の感動は本物です。わからない、私は音楽というものが全くわかりません。コード理論をさっぱり理解していない私にも音楽という不思議さをもう一度認識させられる瞬間でした。

 以上、日頃からちょっと疑問に思っていたことなので大変に面白い記事が見つかったので、よくわからないままよくわからないなりに書き綴ってみました。当方J-POPに疎いため持論を即座に撤回する用意有り

自分語り129 ケータイ小説とライトノベル

本稿は本日のミクシィ日記ですが、自分語りに載せられそうなお話にズレていったのでそのまま転載します。

kiki / あたし彼女
★★★☆☆

 うわー、全然日記書いてなかったなぁと思ってログを調べたら最後の日記は2週間前でした。別に大したことはないのに、まるで二ヶ月近くもミクシィを放置していたような気になるのだから中毒みたいなものなのでしょう。趣味のミクシィブックレビューに書こうと思ったまま放置している書籍も二桁を越し、何からレビューしなおそうかなぁと言うのも煩わしくなったのでとりあえず最近で一番印象に残った作品から行きましょう。

 第三回日本ケータイ小説大賞「kiki / あたし彼女」です。何かにつけて「スイーツ(笑)スイーツ(笑)」とやり玉にあげられるケータイ小説系のヒット作の中でも、今回の作品は特別特注驚異強烈な作風で大変に話題になっているようです。

 誰だって一目見て驚く文体です。心理描写情景描写をとことん省いた(ことが「文学」の人々にとことん嫌われる原因になっているのだろうけど)文体が特徴のケータイ小説で、省けるモノを省ききった、なんだか口語ポエムというかそういうところまで行き着いています。

あたし彼女のガイドライン

 2ちゃんねるには既に面白がって「こんなもの俺にも出来るよ」と言わんばかりにあたし彼女をもじったガ